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日本が誇るキノコ

日本ほどキノコを愛して食べる国は珍しい、と海外で気づく。アメリカに限らず外国のスーパーでは、きのこ類の名前はほぼ日本のキノコの名前で陳列されている。日本は、野生のキノコを取って食べて食中毒で事件になる、そんなキノコ大国なのである。

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一般的には文化が種の生存を越える場合、淘汰されていくものなのだ。つまりその文化の毒で人が死ぬと、その文化は消えゆく運命となるのだ。イスラム教が豚を食べないのは、宗教的理由というより実際に豚を食べて中った人が出たからで、臨床実験を経てこういう倫理に辿り着いたのだろう。つまり、文化が種の生存を脅かしたため、豚食文化がイスラムでは消滅したのだ。※豚の筋肉(赤身の部分)は、人を固有宿主としている有鉤条虫の幼虫(有鉤嚢虫)の寄生部位で、人に毒性がある。牛の場合は、人に寄生しても人に毒はない。

 

キノコは基本的に毒キノコが圧倒的に多い。しかし日本人は僅かな食用キノコを求めて挑戦的だった。例えば、すぎヒラタケは一般の人には毒がなかったが、腎臓障害を持つ患者さんに毒性が出るキノコということが病院の検査で発覚した。実際何人かそれで亡くなったのだが(新潟か東北の話)、それでも地元の人は「だってうまいもんなぁ」と野山に狩りに行くのだ。日本では、消滅どころか進化さえしているキノコ食文化。だからこそ、スーパーマリオでキノコを食べてパワーアップするというアイデアが日本で生まれたのだろう。この時点で既に不気味なポップカルチャーだと思われたに違いない。(※ちなみにマリオUSAで毒キノコが出てくるが、それはアメリカでのキノコのイメージが反映されたわけではなく、日本産でバージョンが少し違うだけ。)菌漫画の「もやしもん」に出てくるが、キノコは植物ではなく菌類であり、菌の中でも大型の子実体を形成するもの、が定義だ。植物の周りに形成される菌密度は、土壌の500倍の密度があり、それゆえ食用できるキノコは身体にとても良いのだ。

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 毒キノコやモチやふぐで毎年10人以上死亡している日本(毒入り餃子事件では死亡者は出ていないのにあんなに大騒ぎだったにも関わらず)。フグの毒であるテトロドキシンが少し入っていた方がピリピリしてうまい、という通のセリフは象徴的である。日本人としては誇らしいが世界から見ればよくもまあこんなものを食べるもんだなというものを食べてきたんだろう。こんな挑戦的な食文化をスペインはサンセバスチャンの田舎のレストランがサンプリングしているのは、こういう理由もあるらしい。

 

 

 

ブラジル人の歯磨き

アメリカに住んで歯を意識するようになった。みなさん歯がキレイですから。歯並びがキレイで歯も白い。4年経った今では一日7回歯を磨く。

 

-欧米の歯磨き粉-

まず何よりも興味を持ったのはこれ。歯が白いアメリカ人たちに聞くと歯磨き粉がポイントだそう。日本の歯磨き粉はホワイトニング効果が弱いのだ。欧米人の間でネットでいつも話題になっているだが、欧米人が日本に行く時に持っていくべきものの1つが歯磨き粉なのだ。なぜかというと、彼らが日本のものを使っていると徐々に茶色になっていくのだ。「日本の歯磨き粉って何か入ってるの?」と聞かれるのだが、むしろ入っていないからだよ、と教える。普段使いのブランドはコルゲートで200円くらいで買える安い歯磨き粉だが、色んな種類が売っているのでお土産にも良い。旅行用に100g以下もあるのが嬉しい。白くなる。材料成分のせいか日本で商用が禁止されてしまった。医学界の権力が発動したんじゃないだろうか。

 

 

 

-リステリン

日本で使ったことなかったが、これで口を濯ぐだけ12時間は雑菌が繁殖しない(らしい)。朝起きても歯はツルツルである。1回20ML使用。旅行用に100MLを2個いつもカバンに入れている。 

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-電動歯ブラシ

USB充電が出てから、旅行中も愛用している。自分で磨く+電気の力で高速に磨く、で歯はよりキレイ。洗濯も食器洗いも全て機械でする時代。食洗機があれば、もう自分で皿洗いはしなくなる。部屋に10人招待して食事会を開いても、その後寝る前に一度食洗機を回し、次の朝仕事に行く前にもう一度食洗機を回すと全て食器が片付く。歯ブラシも同じだ。

 

最近、以下の中国製のものを購入。中国製も馬鹿に出来ない時代だ。もうちょっとボディがコンパクトになるといいのにな。 USBのプラグ形状が独特なのでこのケーブルを別途持ち運びするのもちょっと難点。バージョンアップに期待。

 

-デンタルフロス(歯間ブラシ)

 お肉やお菓子を食べた後は歯間に詰まったものを必ず取り除く。口臭や歯周病を防ぐため。旅行にはヒモだけのデンタルフロスが便利。昔は歯間ブラシを使うと歯がすきっ歯になんじゃないかと思っていたが、食べ物が挟まったままだとむしろ歯が押されて歯並びが悪くなってしまう。歯科矯正と同じ原理だ。歯をキレイ見せるにはこの努力も大事。食後にすぐ行おう。

リーチ デンタルフロス ワックス 50m

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GUM(ガム)・デンタルフロス (ワックス) 40m

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-invisalign

歯科矯正の最新技術。透明なので、不気味な微笑みにもならない。オトナにオススメ。2週間毎に新しいものに換えて、望みの歯型に矯正。ただ後半の1週間は少し気持ち悪い感じ。しっかり洗っているのに不快感が出る。金属タイプの押す原理ではなく、ハメこんでずらしていくので、つけた時は歯茎が痛い。それに耐える必要がある。  

Invisalign

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  • 作者: Jesse Russell,Ronald Cohn
  • 出版社/メーカー: Book on Demand Ltd.
  • 発売日: 2012/01/30
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キレイな歯と歯並びでスマイル、これは高級ダイヤモンドよりも遥かに人を美しく見せる。アメリカ人は気持ち悪すぎるくらいニッコリする印象があるが、日本人が少し取り入れるくらいの方が、日本人はぐっと美しく見える。

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 先日スペインで、同じく1日7回歯磨きをしているブラジル人に出会った。彼の歯磨き論を聞かせてもらおうと思ったが、「いつ何時、女と出会いキスすることになるか分からない。そのためだ。」という極めて単純明快な理論を拝聴することが出来た。

 

 

 

PokemonGOにみる、アメリカン・アニメファンダムたちの長き戦い

7月6日に米国・ニュージランド・オーストラリアで先行リリースされたスマホのゲーム「ポケモンGo」が2日後にアクティブユーザーが一日最大2100万人を超え、米国史上最大のヒット作になって話題を呼んでいる。PokemonGo Meetupや、PokemonGo Robberyなど出会い系やゲーム中を狙う強盗なる現象も生まれるほど大きなインパクトを生んでいる。※ちなみに、アメリカのiTunesカードがあればStoreを設定すると日本でも購入できる。

  

これにはアメリカのアニメファンダムの住人(ファンの王国というfanとkingdomの造語でコミュニティの意で、住人はアニメファンの意)も大盛り上がりしている。なぜなら、アメリカのアニメファンは常に社会の偏見の目と戦い続けているからである。

 

歴史を振り返ると1996年にアメリカにやってきたポケモンは今と同じくらいのインパクトがあり、アメリカの子どもたちの中で大人気となっていた。熱狂する子どもたちは我を忘れてモンスターを集め、時にはいじめや強奪も起こるなど負の一面も徐々に表面化していた。チャイナタウンではショッピングセンターの地下の階で、子供たちがまるでマフィアのようにポケモンカードを賭博でお金に換えていた。この光景を見たアメリカの大人たちにとってはゲーム・アニメ・おもちゃに狂ったようにハマる異様で異常な光景は恐怖そのもので、子どもたちがなぜこんなに狂ってしまうのか全く理解ができなかった。いや、理解しようとしなかった。日本の奇妙奇天烈な文化が入ってきたと認識するようになっていたからだ。1997年にはポケモンのアニメを見ていた子供に次々と光過敏性発作で倒れるという、所謂ポケモンショックと呼ばれる事件が起こった。これで、ポケモン教と呼ばれるほど社会でのイメージはより悪化していく。

 

1999年にタイム紙は、「ポケモンは子供を洗脳しようとしている」とまで書き立てた。このインパクトはタイム誌の表紙になるほどで、何も知らない日本人はこれを見たらポケモンは日本文化としての誇らしげに思うのかもしれない。しかし、ここで重要なのは、大人気のピカチュウが真ん中ではなくニョロゾーというモンスターが中心を飾っていることだ。これはニョロゾーのおなかの渦が洗脳行為のイメージとして誇飾体に悪意的に使われたことを起因している。

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このイメージダウンの運動にアメリカのファンたちも不満の声をあげ、コンベンションで多いに議論し社会の目と戦った。しかし、皮肉なことに、アメリカのサウスパークというアニメ番組がピカチュウを強烈な内容で取り上げたのだった。そのエピソードのタイトルは「チンポコモン Chinpokomon」。サウスパークは毎回社会的なトピックを取り上げ、強烈なユーモアでこき下ろすことで有名で、時には差別的なものもあり議論を呼ぶこともしょっちゅうである。むしろ、ユーモアは大人向けで、大人が子供と一緒に見てはいけない番組としても有名である。宗教や文化をおちょくるわけで、その背景を理解していないと子供は理解できない。どのくらい強烈かというと、見て笑う分には良いが、次の日、それを職場で同僚と話をして笑うと差別発言と捉えられかねないギリギリの内容が多い。日本が誤解されているのはサウスパークのせいじゃないのかと思われるくらいである。

 

さて、チンポコモン。ポケモンの著作権に対しての配慮どころか、強烈なこき下ろしだ。勿論、この意味を理解している一般のアメリカ人は少ないと思われるが、当時のテキストベースのネット掲示板BBSでアニメファンを中心にこの言葉の意味が一気に拡散されシェアされる。

 

内容は、アニメ「チンポコモン」のモンスターを集めチンポコモンマスターを目指す子どもたちのやりとりから始まる。次に真珠湾を爆撃するチンポコモンゲームでアメリカの子供が熱狂し、ゲームを作った会社社長のヒロヒト(明らかに昭和天皇)がキャンプを開催し、そこで戦闘機に乗って真珠湾を爆撃するように子供を洗脳していく。親から抗議を受けたヒロヒトはサウスパーク(町の名前)に釈明をしに出向き「我々は危害を加えるわけないじゃないか。ペニスもアメリカ人よりずっと小さいんだから。」とズボンを下ろしてペニスを見せて機嫌を取り、「アメリカ人のペニスは大きいじゃないか。」とアメリカ人を持ち上げ抗議を忘れさせる。途中のシナリオやオチも本当に強烈だ。

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閑話休題。アメリカで、アメリカ人と話す時に「アメリカはでかいなぁ。日本は何でも小さいから。」ということを言う機会が多い。ハンバーガーでも、部屋のスペースも、全然違うから、日本のことを少しへりくだる感じでこう言うのだが、アメリカ人はこのチンポコモンのエピソードを知ってる人が多いので、この話をする時にはsmallを使わずにJapan is crowded.狭い、と表現することにしている。

 

さて、勘違いしてはいけないのが、サウスパークの作者2人は日本嫌いでもなく、これが彼らのスタイルということである。現に1人の奥様は日本人である。モンティ・パイソンを尊敬する2人だ。彼らは毎回このレベルで文化や社会現象を皮肉りストーリーを展開していくのだ。なので内容自体は面白いのだが、普通の アメリカ人が持つポケモンのイメージを叩き落とすには十分のインパクトで、この時ばかりはまずいと感じたアニメファンは多かった。

 

日本でもサウスパークのDVDは売られているが、シーズン3ではこのエピソードは省かれている。 オススメはアメリカ版iTunesカードを購入して、Storeをアメリカに設定して買えば$3ですぐ日本でも見ることができる。チンポコモンはシーズン3の第11話。オススメできるのは無修正映画版の別のストーリーくらいだ。

アップル iTunes カード北米版 $15 (iTunes Gift Card US $15) 本体発送版

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サウスパーク 無修正映画版 [DVD]

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最近では2015年10月に放送された腐女子のエピソードに関しても同じだった。やおいファンのアメリカ人たちは間違ったイメージを持たれるとTumblrで不満をもらしていた。シーズン19の第6話。是非見て欲しい。英語の勉強だけでなく、アメリカ人がどのように捉えてしまっているかが分かる。かなりの人がサウスパークを観ているからだ。 英語もアニメスタイルもかなり特異だが、日本人としてこの2つのエピソードはアメリカに行く前に見ておくと良い。

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アップル iTunes カード北米版 $25 (iTunes Gift Card US $25) 本体発送版

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アニメファンダムの住人はアニメに関するあらゆる偏見と戦いながら生きている。日本で新たな文化が生まれると、かならず皮肉を込めてアメリカに紹介されている。ヌーディティの話や、ジブリの話など、挙げればキリがないくらい戦いの歴史である(これらはまた別の機会に書くとする)。しかし、このポケモンGoの人気は、象徴的な転機を迎えているように見える。比較的ポジティブに捉えられていて、いじめや強盗はむしろその人のモラルの問題であり、ポケモンGOの本質とは捉えられていない。日本のアニメに対する偏見はまだまだ根強いが、当時の子供たちが親の世代になりつつあり、変化の兆しを感じる現象であると感じた。

 

※やおいのエピソードをユダヤ人男5人とジェンと僕で部屋で見ていた時のこと。ユダヤ人が腐女子が日本で生まれた背景などいくつか質問をぶつけてきた。そこで説明していると、ユダヤ人の優秀たる所以を垣間みることがあった。腐女子の説明のキーワードとして、「かわいい男子が愛しあうのを妄想するのが好きな人たち」という時に、「筋肉質の薔薇族じゃないんだね?」と確認し、2つのキーワード「Boys Love」と「Bishonen」とぶつぶつ復唱していた。それは新しい文化としての「やおい」をちゃんと理解し、英語にはない言葉としてカテゴリー分けし頭の引き出しにインプットしている瞬間だった。アメリカ人が男性に言うキュートと、やおいに出てくる美少年のキュートのニュアンスが違うので、日本語で覚えるのだそうだ。こうやってまた日本語がそのまま英訳されて使われていくのだった。薔薇族をちゃんと知っていて、やおいの定義には含めないよう正しく理解する姿勢がユダヤ人。ユダヤ人と話すとトピックのキーワードがすぐ出てきて議論が形成されていく。なんとなく感覚的にものを捉えるだけでなく、しっかりと言葉にまで落とし込んで理解しているのが分かる。恐るべしユダヤ人。

寝ればいいじゃない!

スペインで学んだ文化の1つにシエスタがある。これは日本で言うとただのお昼寝なのだが、スペインの文化と時間の中でどのように機能しているかが分かると、これが非常に使えるツールだと気づく。何より素晴らしいのが、スペイン人がみな話している会話にあると感じた。

 

「あー、飲み過ぎたのか今日午後しんどいなあ。」

「寝ればいいじゃん!」

 

こんな感じである。社会が30分ほどの昼寝を許すことで、すごく幸せになれる。日本だとどうなるだろうか。

 

「あー、今日仕事が捗らないな。」

「あと3時間で仕事も終わるから、頑張ろう!」

もしくは

「昨日飲み過ぎた?生活リズム崩さないよう気をつけなきゃね。」

 

という、応援・心配はしてくれているものの、社会からの愛がないような、社会に対してもうひと頑張りの必要があり、自分の管理能力を見つめなおすというタスクが増えて、疲れが取れるわけじゃない。日本だとテンプレートのように聞いていた。

 

人間、たまには飲む日もあるし、それに付き合ってあげたい日もある。たくさん頑張ってて、どっと疲れが出る日もある。それを呑みに行ってスカッとする、もしくはさっさと家に帰って(寂しく)早く寝る、という以外に、昼寝をしてみんなと夜飲みに行くというスタイルがあってもいいと感じた。社会がそれを許すシエスタがあるから、スペインの人はみんな明るいんじゃないだろうか。

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そんなんだから、スペイン人は仕事がルーズだ、不景気なんじゃないかと言う。確かに不景気で失業率は40%超えている。日本に短絡的に導入すれば、文化や社会的背景への理解がなければ、ただのサボりとして捉えられるだろう。 しかし数字に現れる部分(いわゆる陽)の部分ではなく、形に出ない部分(陰)も合わせて見るべきである。日本人なら細かい技術レベルや時間に正確なシステムのまま、シエスタを導入することも可能だと思う。優秀な日本人だから。昼寝をすることが悪いんじゃなくて、きちっと時間通りに昼寝すればいいだけなのだ。瞑想もあるアジアの一国に我らは生きている。

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韓国の映画「8月のクリスマス」の中で、こんなシーンがあった。主人公の青年は写真屋で、とある家族が全員で家族写真を撮りに来た。その後、家族の父親でもある息子が母であるおばあちゃんに1人で写真を撮るように促すのだ。撮られるおばあちゃんも、脇でタバコを吸ったりしている家族も、少し顔が暗い。実はこれはおばあちゃんの葬式用の写真で、主人公も何となく察する。ところが雨降る夕方に、そのおばあちゃんがチマチョゴリを来て現れる。「実は、昨日のはお葬式用の写真なんだよ。キレイに写して欲しくて。」と。その時、主人公の青年は、

 

「じゃ、綺麗に撮りましょうね。」

 

といい、そのおばあちゃんを迎えた。この青年の返答に「いえいえ、まだまだ若いじゃないですか。もっと長生きして下さいね。」という言葉が、日本人として無意識に脳裏に浮かんでいた。でも、綺麗に撮りましょうねっていう言葉の方が、素直で優しい言葉だなと感じて、身体からストレスなくこの言葉を受け止められた。日本人には理解はできるが、もう身体で表現できなくなっている感情なんじゃないか感じた。

 

寝ればいいじゃない!という言葉は、素直で優しい言葉だと思う。何よりタダだし、日常で使うシーンが多い。疲れた人に寝ればいいじゃないって言える社会は愛があっていいな。 

八月のクリスマス デジタル・ニューマスター版 スペシャル・コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD]

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ちなみに日本語版も観たのだが、その情景はうまく描かれているとは残念ながら言いがたい。むしろ日本らしいといえば日本らしいのだが。

8月のクリスマス スタンダード・エディション [DVD]

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ユダヤ人街で撮るカメラ

ユダヤ人街で写真を撮るとすごく怪訝な顔をされる。彼らの宗教は観光ではなく、秘匿性ある神秘なのだ。ユダヤ人のスーパーでさえ大きな一眼レフとギョロッとしたレンズでガシャガシャシャッター音を立てていれば不信感を抱かれる。仕方なくiPhoneで撮る(アメリカのiPhoneはシャッター音が鳴らない)。一眼レフにシャッターショックを減らす機能はあるもののショック音は鳴る。ところがSONYのa7r iiからシャッター音がOFFになる機能が出たので、これでシステムを組んでみた。旅行にも最適なコンパクトなサイズある。

 

ボディはフルサイズミラーレスSONY a7r ii。レンズは全て単焦点レンズ。4K撮影も可能なのでビデオにもチャレンジ。SONYレンズはあまり良いのがないということもあり、aシリーズをアダプターを介してオールドレンズを楽しむ人が急増。ズーム機能、オートフォーカス機能がないオールドレンズは、100gの重さで良いレンズがたくさんある。これは旅行に持ってこい。ズームレンズ一本の方が楽で安上がりではないかとも考えたが、色々なレンズを付け替えて楽しむ方がやはり面白い。

 

SONYは最近Gシリーズという、プロフェッショナル用の上級レンズをリリースした。しかし旅行には重くて不向きなのだ。あんな小さいa7を世に出したのだから、レンズももっと革新的なものを出してくれたらなぁと思うのだが。

 

a7は本当に小さい。カメラというよりコンピュータ。

SONY ミラーレス一眼 α7R II ボディ ILCE-7RM2

SONY ミラーレス一眼 α7R II ボディ ILCE-7RM2

 

 iiで搭載されたサイレントシャッター。これはとても気に入っている。例えばユダヤ教のスーパーで大きな一眼レフでバシャバシャ音を出して撮っていると、お客からはかなり怪訝な顔をされ、お店の人から苦情が来る。宗教は観光ではなく秘匿性がある神秘的なものだ。それが小さなカメラで音が鳴らないなら、怖がられない。また、街角でスナップを撮る時も、ふいに大きなカメラを向けられるのはそんなに気分の良いものではない。大きなカメラとレンズで喜ばれるのは、ファッションショーの時のストリートスナップだけだ。少し気になるのは、アメリカで購入したa7r iiは言語設定に日本語がない。日本の商品なのに。Chineseの設定はあるのに。日本で話題の超解像度ズームもただのZOOMと表示されているだけ。日本人は騙されているのか?もう日本は日本商品ですら、マーケティングから外れているような気がする。

 液晶プロテクターはオススメする。フラッグシップ機ではあるもののボディにすぐ傷がつく。スクリーンも予想以上に傷がつく。カバンに入れているだけで引っかき傷がつく。キャノンやニコンではこういうことはないのだが。 

 

まずはオートフォーカス付の明るいレンズをSONYから2本揃えた。

SONY 55mm F1.8, 281 g

SONY 28mm F2, 200 g

オートフォーカスがあればビデオにも使えるレンズ、そしてジンバル。

 

SONY 単焦点レンズ Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA フルサイズ対応

SONY 単焦点レンズ Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA フルサイズ対応

 

55mmは自分が見たままのサイズが写る。55mmを制する者は写真を制す。SONYのEマウントの中では一番外れではないレンズ。外側はすぐ傷がつくけど。色乗りも悪くない。

ただビデオとなると、55mmでは狭すぎることもあり、28mmは重宝している。動く人を追いかける場合、オートフォーカスは便利である。写真でも明るい広角に助けられることはある。しかも軽い。ただCarl Zeissの認定がないせいか、フォーカスした時にフレームが大きく変わるのが安い理由なんだろう。

 

 a7rの音声録音プラグがジンバルにぶつかるので、アタッチメントをかますと高さが出て、それを回避できる。手元のグリップが金属むき出しなので、長時間持ってると滑りそうで怖い。テレビと同じクオリティで撮影が出来る。

HAKUBA クイックシュー2 S HQS2-S

HAKUBA クイックシュー2 S HQS2-S

 

レンズを交換するとカメラの重心が変わるので毎回マウントの位置を調整する必要がある。しかし、付属の2つのマウントがネジで止めるタイプなので、微調整の度にカメラを外して、カメラからマウントを外しネジを緩め締めて調節する必要があり、とにかく面倒。そこでスライド式のアタッチメントをかます。

 

さらに広角用として以下のレンズとアダプターを揃えた。

Zeiss ZM 21mm F4.5, 120 g

Voigtlander 12mm F5.6, 230 g

ヘリコイド付Shoten Leica M to Sony E マウントアダプター  

Carl Zeiss C Biogon T*4.5/21 ZM SV シルバー

Carl Zeiss C Biogon T*4.5/21 ZM SV シルバー

 

歪みもなく高精細。そして軽い!旅行に必須の一本なのは間違いなし。あと、シルバーだとプロっぽい感じが出るのも好み。

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iPhoneと同じアスペクト比が19:6だと焦点工房のアダプターをかましてもケラレは問題なし。歪曲も見られない。

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フルサイズ最大の3:2で保存すると、四隅が若干ケラレているのが分かる。これもAdobe Lightroomで処理が全然可能な範囲。

 

Carl Zeiss フード 21/25mm用

Carl Zeiss フード 21/25mm用

 

 レンズフードは別売り。しかし、フィルターをかますとフードは装着不可となる構造。なのでアマゾン返却。

また、キャップがすごく外れやすい。人に軽く当たっただけでキャップのバネが緩みポンと弾むように簡単に外れて落としてしまう。崖から夕日を観ている時に、レンズ交換時にキャップが落ちそうになって危なかった。もしキャップを落として慌てて拾おうものなら、空いたカバンからレンズが落ちるなんて悲惨なことになりかねない。高価なレンズを旅行時に安心して楽しむためには、万全を期すのがベスト。 

 

VoightLander 単焦点広角レンズ ULTRA WIDE-HELIAR 12mm F5.6 Aspherical II

VoightLander 単焦点広角レンズ ULTRA WIDE-HELIAR 12mm F5.6 Aspherical II

 

歴史的建築物を撮ろうとした時に、だいたい狭い旧市街にあったりして、21mmでは撮影することができないことが多かった。よりコンパクトで軽量な15mm F4.5 asphと迷ったが、「12mmは人間の視野角120° と同じ」に惹かれてしまった。後でトリミングすることも考えれば、時代的にもこちらだろう。しかもフィッシュアイではないので、フィルターも取り付けられる。VoigtlanderがBasseを捨てて、ミラーレスにSWH, UWH, HWHと挑戦している姿勢は楽しみだ。色かぶりも何のその。

 

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アダプターも当初は色々あったがだいぶ落ち着いてきた。焦点工房は作りが良いのは勿論のこと、どのヘリコイド付アダプターよりも長い6mm。ヘリコイドはマクロ撮影用の接写リング、エクステンションチューブと同じ機能で、それがアダプターに6mmで付いている。これでどのレンズもマクロレンズにすることができる!オールドレンズの55mを別途購入してこのアダプターで接写したいくらいである。購入したレンズは全てLeica Mマウントなので、これ一本で済んだ。 

 

ポートレイトと望遠用に

Jupiter-9 85mm F2, 311 g

ロシア Jupiter-9 ジュピター 85mm M42

ロシア Jupiter-9 ジュピター 85mm M42

 

望遠は大きいので本当に迷った。旅をしていると夕日やポートレートなどもっと寄りたい気持ちになる。55mmではどうしても寄った雰囲気が出ない。しかし135mm以上となると本当に長く大きい。85mmでAPS-Cで135mm、超解像度ズームで最大270mm, まぁ実際は200mmくらいで満足できるだろうと思い、ロシアンレンズで定評のあるオールドレンズのJupiterにした。一万5千円くらいで買える。安い!オススメはやはりシルバー。 アメリカebayで入手。

 

a7はセンサーがレンズにとても近く、レンズ交換時にホコリがよく入るので、ブロアーが必要。小さいものより、風船部分が手のひらにスッポリ入る標準サイズが実用的だ。 またレンズ表面はフィルターでカバーしているが、裏側をレンズ交換時に触ってしまうこともよくあるので、レンズを拭くためのキメ細やかな毛のペンも携行している。

 

 

カメラを肩にかけ、全てを1Lのバッグに入れて基本的に手ぶらで歩いている。 ちなみにズボンのポケットには防止ロック付でスマホ、財布、パスポートも入れて、旅行している。

 

 バッテリーは標準で2本付属しているが、旅先で丸一日撮るなら予備バッテリーは必要。いつも3本携帯している。a7本体に直接USBをつないで充電できるので、2個対応充電器があれば 、夜就寝中に3本フル充電できる。

 

ワークフローとして、写真をハードディスクに移す前にスクリーンで確認して不要な写真をメモリーからバンバン削除する。バリバリ撮影しているのでそのまま読み込むと現像も大変になる。すると、撮影以上に確認・削除にもバッテリーを使う。丸一日撮影して2本では確実に足りないが、今のところ3本で足りている。充電器もチープで軽い。

 

海外旅行で住んでみる

2016年も半年が過ぎた。仕事の合間が大きく空いたのでそこそこ長めの海外旅行をして以来、行ってみたかった海外の国々を4月頃から暇がある旅に回っていた。現在も回っている。日本に戻ったりもしながら。

 

旅先の地元の友達の処に1週間~1ヶ月ほど一緒に暮らすので、旅行というより住む。するとその国・街がご近所さんになる。40L以上もあるリュックを背負って街から街へと移動するバックパッカーではなく、10Lのリュックで1つの街の友達の家を拠点にして周りを軽快に回る旅である。ご近所さんに気軽に行くのだから。

 

コストは思ったほどかからないことに気づく。どこのスーパーで何を何曜日に買うとお得だとか、どのレストランに何時に行ってどれを食べるのか、地下鉄も走ってない時間にどのバスに乗ればいいのか、など生活レベルの情報は安く過ごすのにとても役に立つし、何よりそれが楽しいし嬉しい。一緒に住んでるので食費も光熱費も微々たるコスト。

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この旅行スタイルのハードルはコスト面でそこまで高くない。スペインでも一ヶ月半で20万円くらいだった。しかし、日本で仕事してた時を思うと、休みが取れない。旅行している外国人には旅先でよく出会うのだが、彼らは少しお金が貯まれば、時間はあるのですぐに旅行に出るという。

外国では、ほとんどの人はお金がないから海外旅行に行かないのである。爆買いの中国人は日本でたくさん見かけたが、彼らはお金があり時間もあるのだ。週末でもなければ、夏休みでもないのに本当によく見かける。日本も休みを許す社会なら、日本人の幸福度はもっと増すんじゃないかな。そして楽しい。

 

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時給800円で1日9時間勤務で25日だと、月給18万円。コンビニでバイトしてる人なら、2か月バイトして1か月どこかに住む。こんなスタイルはサラリーマンは無理でもコンビニバイトの人なら可能で年間4か月海外に住める。行くのではなく、住める。東南アジアなどの比較的安い国だけでなく、ヨーロッパも可能だ。住む海外旅行は人生の選択肢増える娯楽となる。選択肢が増えるということは人生の幸せにつながる。数年続けて、新しいビジネスの種をみつけて、好きになった場所で始めれば、とても楽しい起業プロセスだ。定職を持つサラリーマンより幸せに明らかに幸せになれると感じてしまう。

 

ハーバード大ビジネススクールのマーケティング専門家マイケル・ノートン博士とカナダ・ブリティッシュコロンビア大学の心理学者エリザベス・ダン博士の著書「ハッピーマニー」の中でこう記されている。年収250万円が500万円になっても幸福度は2倍にならずたった9%上がるのみ。旅などの経験の方が圧倒的に人を幸福する。物を買って幸せになる時代は終わり、経験や他人のために使うと幸福につながることの詳細がしっかりと書かれている。 

Happy Money: The New Science of Smarter Spending

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「幸せをお金で買う」5つの授業 ―HAPPY MONEY

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  • 作者: エリザベス・ダン,マイケル・ノートン,古川奈々子
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版
  • 発売日: 2014/02/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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バルセロナから北京行きの便で隣に座ったスペイン人のカップルと話をしていた。彼らはマレーシアに2週間ほど行くらしい。さらに聞くと彼らは無職で、彼女が最近失業したから物価の安い国に旅行に行くんだと言う。日本だと無職はとても不安定な状態なので自己投資をしたり就職案内に駆け込むものだが、そんな話をしたら目を開いてビックリされた。彼らにとっては旅が楽しい自己投資だという。基本的に旅行はよく行くし職がなくなって人生に戸惑うことはないらしい。彼らはいわゆる時間にルーズなイメージのスペイン人かとおもいきや、話すとすごく知的で色々なことを教えてくれた。隣席のその女性は生物人文学博士だった。キャリアと人生の幸せが別だということを彼女から教わった。

 

今年は残りの半年で、どれだけ行けるだろうか。9月はニューヨークでファッションショーがまた始まる。11月には大統領選挙だ。 

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ちなみに海外旅行にはシムフリー版のスマホは不可欠。2年ほど前にニューヨークのグランドセントラルターミナル内にあるアップルストアでiPhone 6Plus 128GBのシムフリー版を購入していた。通常版のシムロック版の倍の値段で$1000ほど。その国に着いたらすぐシムも購入して指す。アジアでもヨーロッパでも金額が気にならないほどシムは安い。

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アジアのシム販売店はいつもこんなサイバー空間風 

アメリカだけでなく日本で使うことも考え、型番はA1524を指定した。アメリカではSoftbankが買収したSprintが対応しており、この型番が日本人にとっては使い勝手が良い。買う前に何度も念押しし、自分で番号を確認して購入した。アメリカ人はよく間違えるからである。他の型番だと日本で使えない。6sも以下のリンクで確認できる。

www.apple.com

 

  

  

 

最大容量の128GBのiphoneは値段こそ高いが、その価値はある。そこに書籍・漫画は100冊以上、音楽も100曲以上、映画・ドラマも100本以上入れられる。ご近所の海外に気軽に行ける。日本アマゾンで本を購入し、送り先を自炊業者に指定する。自炊業者がスキャンしたものをクラウドにアップしてくれるので、今や世界どこでも日本語の電子書籍がスマホで読める。中古の本を1円で購入し、100円でスキャンしてもらって読んでいる。もちろん、紙の書籍は実家に戻った時に自炊業者に送ってどんどんスキャンしてもらっている。旅の道中の方が本をよく読んで映画を観る。

イビサ島でVueling航空がことごとく遅延し空港で5時間も足止めを食らった時は、読みたかった本や映画を観て過ごせた。深夜にも関わらずタクシーを使わず、地元の人に教えてもらった方法で市内の家に1ユーロで帰ることが出来た。

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iPhoneのサイズに関しては 6, 6sでは読むのに少し小さい。iPad miniは閲覧には良いサイズだが、スマホとタブレットを両方持つのは、旅で機動力に欠けてしまう。iPhone 6Plus1つにまとめるのが旅行には持ってこいのサイズである。寝ながら使うにもちょうど良いサイズ。リングを付けると片手操作ができるし、ヒモをつけてベルトやベルトループに引っ掛ければ落下防止、盗難防止になる。このリングは折りたためるので、移動中は薄いままで、使う時にはスタンド代わりにもなる。またiPhoneをケースで必要以上に分厚くしたくないので、ケースではなくバンパーを使用している。

  

  

  

ユダヤ人のサバスあるある

それは先月2月の金曜日、ニューヨークで雪降る極寒の夜だった。ニューヨークでのファッションショーが始まる前で、僕は昼間からその準備をしていた。金曜の夜はユダヤ人にとってサバスの日という日の始まりで、ひょんなことからユダヤの人たちに大変感謝されることになった。

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家の裏、朝焼け、イズが置きっ放し出しっ放しの椅子、雪

ユダヤ教にはサバス(Sabbath)と呼ばれる安息日がある。毎週金曜の日没後からサバスが始まり、ユダヤ人は家族で集まり夕食を食べて共に時間を過ごす。大学教授に与えられる長期休暇サバティカル(Sabbatical)もここから来ている。

ルームメイトでユダヤ人のイズ(兄)とオジー(弟)は毎週金曜日に親の家を訪ねて夕食をともにする。サバスの戒律で労働してはいけない。この時間は電気や火をつけたり消したりできない。これらは労働に当たるのだそうだ。ニューヨーク屈指の電気屋さんでユダヤ人が経営するB&Hはウェブサイトですら金曜日没後はOFFになりオーダーができなくなる。

面白いのが、逆に点けたり消したりしなければ良いので、点けっぱなしはアリということ。夜中にお茶が飲みたくなった時などに備えて、火を弱火にしたままサバスを迎える。お茶を作る時は強火にして、また弱火に戻す。火は点火されたままなら、強めたり弱めたりする分には問題ないとのこと。

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弱火でサバスを迎えるのが冬の習慣

さて金曜日の晩、ユダヤ教でないジェンは、オジーやイズそして彼らの両親とサバスを過ごすことはできない。そもそもユダヤ教では非ユダヤ教の人と付き合ってはいけない。ましてやそんな女性と同居するなんて敬虔なユダヤ教徒にはありえないわけだ。この兄弟はいわゆる比較的ユルい、悪く言えば怠けたユダヤ教徒、よく言えば多文化に柔軟性があるユダヤ教徒なのだ。

ともかくそのサバスの日は、彼らは両親の家まで歩いていって、僕はジェンを連れてブルックリンのバイオハッカーのイベントに参加し、極寒の夜11時頃に部屋に戻ってきた。すると、先に戻っていたその兄弟が僕にお願いがあるんだ!と寄ってきた。

話を聞くと、彼らは親と夕食時間を過ごした時のこと、日没前に暖房をONにするのを忘れていたらしく、家では暖房がついてない状態らしい。ユダヤ教の戒律により彼らは自分で暖房をONにできないので困惑して僕らの帰りを待っていた。その日は朝から雪が積もり非常に寒い。このままでは親は夜中を凍えて過ごすことになってしまうため、何とかしなければならないと慌てていたのだった。

まさにユダヤ人のサバスあるある。

ユダヤ教 (〈1冊でわかる〉シリーズ)

ユダヤ教 (〈1冊でわかる〉シリーズ)

 

そんなんだったら、自分たちで「うっかり腕が当たって暖房がONになっちゃった」とかすればいいのに…と思うくらい、彼らは親から離れたところでは本当にユルユルだ。ガールフレンドのジェンはユダヤ人ではないし、コーシャー料理(ユダヤ教の食べ物清浄規定)ではないアジア系、インド系、ドミニカ系、メキシカン系のご飯にも、美味しいからと食べに行く。ただし彼らは他のユダヤ人に見られないように、お店の奥にいつも座っているが。そんなユルい彼らは、親がサバスで大変だって時も、自分の部屋でスイッチのON/OFFをしまくっているのが滑稽だ。冷蔵庫からビールを出してドアを開け閉めをする。テレビとスマホを点けてゲームに興じ、タブレットPCも横に置いて映画を見るなど、電気をバチバチON/OFFしてサバスの戒律を破って労働している。  

The Artisan Jewish Deli at Home

The Artisan Jewish Deli at Home

 

 宗教がもたらす兄弟のその慌てっぷりと怠惰な倫理観を目の前にすると彼らほど親身に深刻になれない面白さがそこにはあった。

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 住んでる部屋のスイッチ

勿論彼らは、そんな怠惰な宗教倫理を親に押し付けてスイッチをつけさせるわけにはいかないので、旅行者としての男の僕にスイッチをつけて欲しいとのことだった。ユダヤ人ではないジェンに頼むことはできなかった。こんな夜中にユダヤ人でない独身女性と何をしていたんだ!という面倒なことになりかねないからだ。

 

車のエンジンもONにできないので、4ブロック先の両親の家まで極寒の中、オジーと歩いて行き、無事暖房をONにしたところ、命の恩人のようにとても感謝されてしまった。なんともあっけない作業だった。

 

ユダヤ教の金曜はとても静かに夜を迎える。

店は閉まっており、車も走っていない。

飲んで大声を張り上げる若者もいない。

真っ黒な服を着た人と静かにすれ違うこの街を歩いていると、どこか懐かしい感じがする。

ユダヤ人と日本人がどこか近しいからかもしれない。

シンシンと雪が積もるという日本的表現がとても似合う真っ黒な夜だった。そういえば、在米の日本人奥様が子供に日本のオノマトペを教えようと、雪が降る夜に子供を叩き起こして、「これがシンシンよ!」と教えても全く伝わらなかったと嘆いてたっけ。合理的で頭の賢いユダヤ人が古典的なルールに捕らわれて現代で戸惑う姿。現代においてそれはとても原始的で、人間本来の畏敬が垣間見えた瞬間だった。いくら世の中が発展しようが、昔も今も本質は変わらず同じなんだろうか。朝早く目が覚めて外に出てみるとユダヤの街はまだ静かに眠っている。

 

サバスは土曜日の日没とともに終わる。

イズは、土曜日の日没後のピザが一番うまいと言う。

サバス後のピザは作り置きじゃないから新鮮なんだそうだ。

ピザ好きのニューヨーク・ジューイッシュ(ジューイッシュ=Jewishはユダヤ人のこと)は土曜の夜からバーに集まり騒ぐのが楽しみだそうで。そう言って、彼らは静かな土曜日の朝に少しドレスアップしてシナゴーグに出かけて行った。

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